オープンした自分の店舗に真新しい看板が設置されるのを見ると気持ちが浮きたちます。
でもその看板の耐用年数が何年なのかをご存じでしょうか?
看板は固定資産に分類されるため、会計上で処理するために耐用年数が決まっているのです。
しかし看板と一口に言っても多くの種類があり、どのような会計処理をすればいいのか迷ってしまいます。
今回は看板で用いられる勘定科目と、看板の種類ごとの耐用年数や減価償却を解説します。
経費にできる!減価償却と耐用年数について解説
看板は車やパソコンなどの備品と同じ固定資産になります。
固定資産として決算書・申告書を計上する会計処理方法が減価償却であり、減価償却を行う際に必要になるのが法律で定めた耐用年数です。
ここでは減価償却と耐用年数についてご説明します。
減価償却とは?
減価償却とは長期間使用する固定資産を購入した際に、購入費用を法律で定めた使用期間で分割して使用期間中の必要経費にできる仕組みです。
看板を新たに設置した場合は、購入費用を法律で定めた使用期間(耐用年数)で分割した金額を一年ごとの必要経費として計上できます。
分かりやすい例を挙げると15万円の看板を購入して、使用期間(耐用年数)が3年の場合は毎年5万円を3年間必要経費にできるのです。
看板を固定資産とする考えにピンとこない方もいるかもしれませんが、看板は購入した年だけでなく、数年から数十年の長期にわたり使用するものです。
購入費用を毎年少しずつ分割し必要経費として計上できるという考えは理にかなっているのではないでしょうか。
そもそも耐用年数とは?
耐用年数とは法律で定めた資産としての寿命を指し、看板本体の寿命というわけではありません。
看板が固定資産として減価償却できる期間を定めたものが耐用年数なのです。
しかし看板には多くの種類があるため、素材や設置方法によって耐用年数が異なります。
例えば同じ年に同額の看板を購入しても、看板の種類が違えば耐用年数が異なるため、経費として計上できる金額が違ってくるのです。
看板によって異なる4つの勘定科目と耐用年数
看板を会計処理する場合は以下の4つの勘定科目で処理します。
1.建物付属設備
2.構築物
3.器具及び備品
4.消耗品費
同じ看板なのにと不思議に思われるでしょうが、設置方法から材質まで多くの異なる看板が存在するため、種類に応じてそれぞれ違う勘定科目と耐用年数が定められているのです。
ここでは看板の勘定科目と、主だった看板の種類や特徴、それぞれの耐用年数について解説します。
1.建物付属設備
建物に固定された看板は建物附属備品として会計処理します。
主な看板の種類は以下の通りです。
「袖看板」「突き出し看板」 はビルや店舗から突き出すように設置されている看板です。
ビル内に入居する企業の会社名や店名・ロゴなどを示すのに使用されることが多く、通行する人や車が見つけやすい形状になっています。
「袖看板」「突き出し看板」は材質が金属製の場合は耐用年数18年、金属製以外の材質は10年と定められています。
2.構築物
埋め込み方の自立式看板を構築物といいます。
主な看板の種類は以下の通りです。
「野立看板」
通行量の多い道の道路脇や分譲地、新幹線や電車から見える場所に設置されることの多い看板です。
遠方からの集客や人の誘導に効果が期待できます。
「ポール看板」
店舗の道路脇に設置される大型の看板で電照式の看板も多くあります。
設置環境によっては数百メートル離れていても認識できる背の高い看板です。
「屋上塔屋看板」
建物の屋上部分に設置する看板です。
高架などの目線の高い場所からも認識しやすく建物の目印にもなります。
内照式・外照式など様々な仕様があり、夜間でもスポットライトをつけることでより周囲から認識しやすくなる看板です。
「野立看板」「ポール看板」「屋上塔屋看板」は材質が金属製の場合は耐用年数20年、金属製以外の材質は10年と定められています。
3.器具及び備品
移動可能な10万円以上の看板は、器具及び備品に分類されます。
主な看板の種類は以下の通りです。
「スタンド看板」「電飾スタンド看板」は移動可能な自立式看板の総称です。
飲食店の入り口や雑貨屋、美容院などでもおしゃれなデザインの「スタンド看板」がよく使用されています。
A型看板やタワーサインなど形状も豊富で材質も多種多様です。
電飾を使った「電飾スタンド看板」は夜間でも高い広告効果が得られる看板といえます。
「スタンド看板」「電飾スタンド看板」の耐用年数は3年と定められています。
「マネキン看板」「模型」は店舗前に置かれる事の多い、特定の造形で作られた看板です。
人目を引く広告効果のある看板といえます。
「マネキン看板」「模型」の耐用年数は2年と定められています。
4.消耗品費
10万円以下の移動可能な簡易的看板は消耗品費の勘定科目です。
ただし10万円を超える看板を購入した場合は、器具及び備品の勘定科目で処理します。
例外として現在は期間限定の特例があるのでお伝えしておきます。
本来なら10万円を超える看板は減価償却されますが、期間限定の特例として購入価格が30万円未満の場合は全額損金とすることが可能です。
「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」は2年ごとに期限延長されており、現在は令和6年3月31日まで適用される制度となっています。
総務省「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長」参照
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/request/soumu/04y_soumu_k_03.pdf
まだある!看板設置で使える勘定科目について
看板を設置することで、看板本体の減価償却以外にも様々な付帯的費用が経費として申告可能です。
また宣伝広告費として計上できる種類の看板もあります。
主な勘定科目は以下の通りです。
・広告宣伝費
・修繕費
・外注費
広告宣伝費として計上できる種類の看板としては、垂れ幕・ポスター・パネルなどがあり、10万円以下のものであれば消耗品費に分類してもいいでしょう。
野立看板などのように場所を借りて看板を設置する際の土地の賃料も、広告宣伝費または賃借料として計上できます。
なお土地の貸付は消費税の課税対象外なので、賃借料で計上するときは消費税に注意してください。
看板が古くなり修繕が必要になった場合に行う再塗装や破損部の修繕は、修繕費の勘定科目として計上が可能です。
看板工事も外注費として計上できますが、発注元と発注先に雇用関係や指揮関係がないこと、請求書や領収書の発行などの条件を満たす必要があります。
看板は大切な資産。看板の寿命を縮める要因と看板の変え時とは?
看板が劣化する原因は主に風雨や塩害、雪や地震などの自然環境、設計ミスや施工不良などの人為的ミス、そして塗装劣化や金属疲労、プラスチックの劣化などの経年劣化です。
・自然環境による劣化
・人為的な要因による劣化
・経年劣化
自然環境や経年による劣化には普段のお手入れが鍵になります。
個人でのメンテナンスが難しいようなら専門業者に依頼するのも一つの方法です。
人為的な要因に関しては、信頼できる専門業者に施工を依頼することが重要でしょう。
劣化した看板を放置していては危険なこともあります。
看板を変えることでイメージチェンジも図れるので、劣化した看板はリニューアルするのがおすすめです。
まとめ
今回は固定資産である看板は種類によって会計処理するための勘定科目が異なり、耐用年数にも違いがあることを解説しました。
耐用年数は看板の寿命ではなく経費として計上できる期間ではありますが、メンテナンスやリニューアルの目安にしてもいいかもしれません。
会社や店舗の顔である看板は適切なメンテナンスを施し、キレイな状態で長く使用したいものです。
ヒカリウォーカーでは看板のメンテナンスも行っております。
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